もう何年も前になる冬のとある土曜の午後。バイクで事故を起こしたオグオグを俺のバイクのリアシートに乗せ家へ送っていく途中、ケンタッキーが食べたくなり茗荷谷駅前の店で買って俺はタンクバッグの上に縛り、オグオグは俺と自分の間に挟んで再び走り出した。

チラチラと降り出していた雪が本降りに。「まあ無理しなけりゃ大丈夫だろう」なんて甘い考えは一瞬のうちに吹き飛ぶ。あっという間に街は白く染まり始める。走るスピードは落ちるし、バイクのスクリーンやヘルメットのシールドにも雪が積もり始める。

リアシートのオグオグに「何かやばくなってきたな」と言って何気に奴のスニーカーに目を落とした時「これっマジでヤバイ!」と思った。だって奴のスニーカーに思いっきり雪が積もってんだもん

最悪の場合はバイクを置いて歩きになるけど、それは勘弁だし。雪でスリップして転倒なんかもっての他。そして集中して走る俺たちの前に(運転してるのは俺だって)山手線を越えるオーバーパスが最後で最大の壁として立ちはだかる。

アクセルワークに神経を使って坂を登り始める。ここまではどうにかOK。次は下り坂、ブレーキに注意だ。リアブレーキをなめるように使いながらどうにか下りきる。ホッとしたけど気を緩めるわけにはいかない。やっとこさ明治通りへ、もうオグオグの家は目の前、そこで分かれることに。俺は同じ区内の自宅へと一人向う。

相変わらず雪は降りつづける。一人になって気が楽になった反面心細さは倍増する。ヘトヘトになりながら大雪の中自宅へたどり着いた。タンクバッグに縛ってあるケンタッキーの箱の上にはどっさりと雪が。ケンタッキー・コールド・チキンの出来上がり

今でも酒の席なんかでオグオグは「いつ転倒しても対処できるように身構えてた」と言う。ほんとにヤバかった。「都内で遭難するかと思った」といまだに語り草になっている。

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