俺は晴れ男!
俺が雨男かよ!
小布施へGOだっ
温故知新
紅葉とカレー
予定先は予想外
初乗り、初飛び
寝坊と野獣肉
猿だ鰻だ心太だ
 
 

クリスタルラインの何処かにて『寝坊と野獣肉。そしてナッカーは危機一髪』


1回目のツーリングは雨で中止。でも俺は諦めきれず、小雨になったのを見計らって、待ち合わせの中央道の石川PAへ行ったのさ。案の定と言うか当然の如く、誰もいなかった。一服した後、八王子ICで降りて。また乗って自宅へ帰り、寂しく不貞寝した。約1ヶ月後の2回目の時は目覚ましの代わりに携帯が鳴る。「やっべーっ! 寝坊した」 もうみんな石川PAにいるらしい。電話の主のオグオグに、「そっちは予定通りやってくれ。俺は韮崎ICで待つ」 と伝えて、マッハのスピードで自宅を飛び出した。でも朝飯はしっかり食ってたりして。

都内はもう渋滞が始まっている。でもそんなことに構ってなんかいられない。環七は混んでるから、抜け道を通って、首都高の永福ICへ。「行っけー!」とばかりにアクセルを開け続け、待ち合わせの韮崎ICまで一直線。途中観光バスの窓からこっちを見てる男の子に手を振る余裕は有ったけど、気持ち的には遅れた時間を取り返そうと必死に走ってたよ。でも待ち合わせの韮崎ICを降りても誰もいない。ただ鳥の鳴き声が聞こえるだけ。オグオグに電話したら、まだ、3つ先の小淵沢ICにいるらしい。「ダメだ。話が伝わってなかった」 ナッカーに代わってもらい、大滝神社で待ち合わせすることに。地図を見ると下道の20号じゃちょっと距離が有り過るので、再び高速に乗り小淵沢ICへ向かう。なんか忙しいぞ。

大滝神社に到着すると駅弁を食ってやがった。俺もその弁当を食うつもりでいろいろ調べたのに・・・。おまけにオグオグとアマティに 「珍しいっすね。寝坊するなんて」って言われちまったい。「あー情けなー」 今思うと何故、大滝神社で待ち合わせしたんだろう? どうしてツーリングのルートに組み込んだんだろう? 全然思い出せないや。現地に着いてみると、意外なほど小さな神社で、その神社よりも同じ敷地内にある鱒の養殖場の方が大きかった。よくまあ上手く合流できたもんだ。

元々は小淵沢の『大糸桜』と武川村の『神代桜』を見に行く筈だったんだ。それが雨で流れて、みんなの都合がつくのに1ヶ月も掛かっちまったから、桜は当然駄目。ちょうどその頃、山梨と埼玉を結ぶ『雁坂トンネル』が開通して、TV番組で見た『野獣肉』の店が秩父辺りに有る事が分かったから山梨から秩父に抜けるツーリングに変更したんだ。

しばしの休憩の後は予定通りの行動だ。国道20号へ出て東へ向かい韮崎ICへ。ついさっき俺はそこにいたぞ。トホホ。その韮崎ICを右に見ながら目の前に聳え立つ山の方へと向かう。そこはちょうど昇仙峡の裏手の辺り。日本は何処の山に行っても、細い峠道がある。一般の地図では、このずっと先は行き止まりになってる。何種類もの地図で確かめたけど、やっぱり行き止まり。でも実際は通行可能らしい。『ツーリングマップル』という地図だけは道が繋がっていた。そんな道を見つけたら行きたくなるし、行ってしまうのが、お馬鹿な俺たちなのさ。

いくつもの峠を越え山道を走っていくと、ドンドン道が細くなってきた。遂にあの道へたどり着いたらしい。実際は軽自動車が通れる位の道幅は有ったと思うけど。でもバイクで走ってるとタンボの畦道を走ってるんじゃないかと思うくらいの道だった。結構長い間峠道を走り、少し道も広くなったので一端休憩の為にバイクを止めた。

俺はグローブを外しながら前に停車しているナッカーを特に意識するわけでもなくボーっと見ていた。道の左一杯に寄せて止めたもんだから、ガードレールと側溝が邪魔で左側には降りられないらしい。反動をつけて右に降りようとしたら、V-maxも右に起き上がるように動いた。運が悪い事に道は下り坂。V-maxは自重で前に動き出しサイドスタンドが「カシャン」と外れた。ハンドルを左に切っていた為、前に動きながら左に倒れていく。焦って前ブレーキを握り、左足で支えようとするが、左には側溝があり足を着く事が出来ない。「あー! 危ない!」と俺は叫びながら走り、V-maxのリアのグラブバーを掴み手前に引っ張るが、下り坂という事もあってスゲェ重い! 運よくフロントタイヤは側溝に対して90度の角度で跨ぐような形になり、ハンドルの左側がガードレールに当たって止まっている。その時、オグオグとアマティも大慌てで駆けつけて来た。ナッカーが握ってるブレーキレバーをアマティが前に回って握り、まずはナッカーを脱出させる。俺とオグオグでV-maxが前にずれて行かないように後ろに引っ張る。ナッカーは倒れかけてるV-maxを正立させる為、ガードレールとの狭い隙間に体を潜り込ませV-maxを直立させる。そしてその後はリア側はナッカーとオグオグ、フロント側はアマティと俺の体勢に組み直し、「1・2・3」の掛け声で少しずつ道路の安全な場所に引っ張りあげる。何度か繰り返しV-maxも脱出させた。大事にならずに済んだ安心感から、みんなでナッカーに「何やってんの! しっかりしてよ」 「下り坂なんだから、ギア入れて止めなよ」 「フロントが側溝に落ちてたら、一巻の終わりじゃんか」と文句タラタラ。でも4人でどうにか脱出できたと言う事は、一人だったら絶対無理。きっと2人でも無理。3人だったら体力を使い果たせば出来るかも。いやー大変だったよ。きっと実際は山々に木霊するほどの大声を上げてた様な気がする。

ローリング禁止もうトラブルはご免なので、数メートル先の水平な場所へ移動だ。『ローリング禁止』の看板が有るぞ。こんな山奥にローリング族は走らないだろう、ギャラリーコーナーがあってもっと人が集まるような所じゃないと。もしかして、ここで言うローリング族とはうるさいマフラー付けて走ってる俺たちのことかい。

名も知らぬ峠道で乙女高原を抜け牧丘町に入りで国道140号へ。これで全長60キロ以上あるクリスタルラインの東側半分を走った事になる。そして国道140号を北上して走る。山の中の道なのに、しっかりと舗装されてる。雁坂トンネルの近くには『道の駅みとみ』まで出来てる。やっぱエライ(?)政治家が出た県は違うね。開通したばかりで、やっぱり混んでる。料金所を抜けるのにちょっと時間が掛かった。トンネルを出ると埼玉県大滝村だ。埼玉県側はまだ道路や料金所が整備されてない。もしかして見切り発車? トンネルも途中から片側通行になってたぞ。

さあ野獣肉を食いに行くぞ。右手には秩父鉄道の列車が走ってる。左側に『きのこの里 鈴加園』の看板が見えた。「よし着いたぞ」と思ったら先頭のナッカーは何事も無いように通り過ぎて行く。「??もしかして俺の知らないところで予定変更かい?」 頭の中で考えているとナッカーはやっと止まって、聞いて来る 「もしかして通り過ぎた?」 「通り過ぎたよ」 Uターンして到着。店は田舎の民家風の造り。幾つか並ぶテーブルの一番奥に座った。「うへー 獣の皮が敷いてある」 野獣肉とは鹿や熊の肉。炭が入ってコンロの上に熱せられた砂岩の石板が乗ってて、その上で肉を焼くらしい。

熊の肉よりも驚いたのは鹿の肉の方、意外と美味い。生で食べるとマグロ風、焼いて食べると鶏肉の味がする。ちょっと感激。砂岩の上で焼くのもおつかもね。店内にやたらと元気が良い男の子がいて、「水飲んじゃおうっかなー」を繰り返しながら俺らの方へ近づき、座敷に上がって来た。次には、「氷食っちゃおうっかなー」と言いながら、氷が入ったコップと俺らを交互に見る。「何だ、何だ。こいつは」と笑っていたら、この店の子供だった。単に元気がいい子供なのか、俺らに興味津々だったのか、どっちなんだろう。

店に入る時は気付かなかったけど、店の出入り口のすぐ横には果樹園が広がっていて、そこに首に紐をつけられた小鹿が座ってこっちを見ている。そんなシチュエーションになったら絶対思うよね。「もしかしてこいつも・・・」 「今、食べたのも昨日までは・・・」 凄くシュールな気分になった。気分転換のために近くに流れていた川(荒川です)に行ってみたが、単に川が流れてるだけ、その流れに向かって石を投げる位しかやることが無いので、さっさと切り上げ140号を秩父市方面へスタート。何故、人は川や池に向かって石を投げてしまうんだろう? 凄く不思議なんだ。本能的なものなんだろうか、その答えは有るのかな。

秋の行楽シーズンだからか、対向2車線の道だからか、秩父市内へ向かうにつれて走る車の数が増えはじめ、市内に入った頃には大渋滞になった。すり抜けはいつもの事だから、ホイホイと車を何台もパスして前へ前へと進んでいたら、すり抜けをしない群馬ナンバーのツーリング・グループに追い付いてしまい通せんぼ状態に。車と同じスピードでノロノロ走るからハンクラの連続。すぐに左手首が痛くなってくる。特に俺とオグオグはきつい前傾ポジションのバイク。止まるたびに左手首を揉んでいた。「てめえら邪魔だ。どけーっ!」と大声を出したい気分だったけど、そこは俺らは『グッド・マナー・ライダー』だから、ひたすらストップ・アンド・ゴーの繰り返しで、秩父市・皆野町・長瀞町にまたがる大渋滞を亀の歩みの如く進んでいく。

和銅遺跡随分以前に一度だけ泊まった事がある140号沿いの和銅鉱泉旅館は、『栗の助』とかいう小綺麗な御土産屋に立て替えられていてちょっと悲しかった。秩父鉄道の黒谷駅付近から見える『和銅遺跡』への入口は全然変わってなかった。「そりゃ変わんないだろう、和同元年は708年で1200年以上も昔だぞ。たった数年しか経ってないんだもん」 と一人心の中で呟きながら渋滞の苦しみから少しでも楽になろうと遠い過去に心を飛ばす俺がいた。

寄居町へ入ると道も広くなり渋滞も一気に解消。今までのストレスをマフラーから吐き出せとばかり右手をひねる。信号で止まったとき群馬出身のアマティに「群馬の奴は、あんなにのんびりと走るのか?」と聞いたら、「仕方ないですよ。群馬に渋滞は無いから、すり抜けなんて知らないんじゃないですか」と笑いやがった。そりゃアマティとナッカーはアップハンだからそれほどじゃないだろうけどね。

実はというほどの事でもないけど、YZF1000Rはまだナラシの途中。それも、もう少しで終わる。リミットの7,000回転まで引っ張ってみる。 「へぇー けっこう出るじゃん」いいぞいいぞ。V-maxのナッカーはこのツーリングでナラシの俺をぶち抜くつもりだったらしいが、ナラシ中でも、V-maxの最高速くらい出てるもんだから、「こりゃ、駄目だ」と諦めたらしい。

高坂PAで休憩中にスズキの1200と同型の400に乗ってる恋人同士か夫婦かは知らないけど、男女のツーリストが俺らと同じ場所で話をしてた。男のほうが「いいか。俺に付いて来るんだぞ!」と大声で言い、1200で駐車場を出て行こうとする。女の人はすごく嫌そうな顔で400をスタートさせる。俺ら4人はその光景を見て 「あれじゃ、次のツーリングから女の方は行かないんだろうな」と言った。ビッグバイクは黙ってても高速は楽。ストレス溜まらないからね。400に合わせてやんないとな。400CCのバイクでビッグバイクとツーリングに行った経験がある俺たちは珍しく意見が合った。


この日のお馬鹿達の足跡。

中央道石川PA(寝坊)→韮崎IC(出会えず)→小淵沢IC(大滝神社で合流)→茅野小淵沢道路→国道20号→韮崎昇仙峡線(ホッチ峠)→御岳昇仙峡道路(荒川湖)→野猿谷林道→荒川林道(ナッカー転倒寸前)→国道140号秩父往還(雁坂トンネル)→秩父が側の国道140号(野獣肉)→大渋滞→東北道花園IC→高坂PA



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