2002-5-19 『ロード・オブ・ザ・リング』 THE LORD OF THE RINGS
THE FELLOWSHIP OF THE RING

巷の評判通り、すごい作品だね。上映時間が3時間オーヴァーだからといって苦痛や退屈感は一切感じなかった。CGを駆使した映画は何本も見てきたけど、遂にこのレベルまで来たかという思いだった。

俺は原作の『指輪物語』は読んでいないから、内容についても全くの予備知識無しで、映画館に行ったんだ。タイトルから察して、指輪が神秘な力を持っていて、野心を持つ人々を惹き付け、その選ばれし者が正しい心の持ち主なら善の世界に、悪の心の持ち主なら闇の世界になる。指輪から選ばれようとして、多くの人々が人生を賭ける、指輪は誰を持ち主に選ぶのか?そんな映画だと勝手に思ってたんだ。でも実際は全然違ったね。指輪の持ち主は最初から決まっていて、お互いがお互いを呼び合っている。しかし平和な世の中を保つ為、世界を救う為に、指輪を捨てに行く旅、それも指輪が生まれた、『ほろびの山』の炎の中へと。いやー、参った参った。映画が始まってすぐに「やられた」と思い知らされたよ。

流石に14年も掛けて書き上げられた小説だから、素晴らしい世界観があり、見事な歴史を作り上げている、それを元に制作されたこの作品も見事の一言に尽きる。これほどの素晴らしい映像は、いくら映画評を読んだり、映画評を書いたりしても上手く伝わらないと思う。やっぱり実際に劇場で見る事が一番だと思う。本当に素晴らしい映像を見させて頂いたと思います。

でも俺は天邪鬼だし、素晴らしい作品だからこそ突っ込み甲斐が有るよ。おまけに、この映画は3部作の1作目だから、意味がよく分からないカットや、不思議に思えたシチュエーションがいたる所にあったからね。

冒頭で遠い過去をナレーションと映像で語るシーンで、全世界の支配を目論んでいた、真の指輪の持ち主である冥王サウロンが、勇者イシュルドゥアによって指を切り落とされたくらいで、肉体が滅び、魂だけの存在となったのか(まあその後、首を落とされたけどね)。サウロンと指輪が別々になったから肉体が滅んだと思うのが妥当なんだろうけど、もしかして冥王という位だから、とうの昔に肉体は滅んでいて、指輪のパワーで生ける屍と化してたのかも。しかし何故指輪なんだろう?戦士ならば自分の思いを込め、打ち鍛えた剣でも良いと思ったけど、一体感というものから考えると、やっぱり指輪なのかなぁ。

興味本位か、偶然か、窓の外にいた庭師のサムをガンダルフが見つけて「話を聞いたか?」と問い質し、フロドと目を合わせた後“ニヤリ”と笑い、「それなら、お前は」と言った後、何の脈略もなくフロドと一緒に旅に出る。サムは「俺はフロド様を守る。ずっと一緒に居る」と劇中で何度も言う。それはそれで素晴らしい友情愛だと思うけど、サムが一緒に旅に出た理由が今ひとつ分らないんだ。魔法でもかけられたのかと思ったけど、そんな風でもなかったような。

そのサムが「ここから先は知らない土地」のような事を言うから、さあここからはホビットの庄(Shire)を離れて、旅の始まりだ。なんて思っていたら野菜をドロボウしていた友人のメリーとピピンが出てきて、単に隣の村に入っただけで、まだ旅は始まってなかった。

ストライダーと呼ばれていたアラゴルンが何故、ブリーにある“踊る子馬亭”にいてフロドたち一行を助けたのかちょっと分からない。塔の上に幽閉された形となっていたガンダルフが蝶(蛾?)みたいな生き物にかけた魔法は、大鷹になるのではなくアラゴルンに知らせに行くものだったのかな。

エルフ族の女王アルウェンを演じる為、20Kgもダイエットして激痩せのリブ・タイラーがフロドを救う為に「私の父に・・・」というセリフを言った時、「お前の父親はスティーブン・タイラーだろ、あの、口の大きな」と心の中で一人突っ込みしてたら、父親のエルロンドはロン毛の“エージェント・スミス”(From『Matrix』)でビックリ。

アラゴルンとガンダルフそしてアルウェンはそれぞれ見知った間柄のようだったけど、これもまた曖昧だったね。2作目・3作目ではハッキリするとは思うけど。

エルフの国の裂け谷の館に届けた指輪をどう扱うかの会議中に、何故か指輪自身が光を放ち文字を浮かび上がらせるんだ。確か「今は炎の力をかりて」とガンダルフが話していたはず。その会議が紛糾している最中に、ドワーフ族のギムリが斧で指輪を潰そうと叩いた瞬間、フロドの心の中で炎が燃え上がったカットがあったけど、もしかして、その炎に反応したって事かな。

何度も襲撃をかけてくるブラックライダーは指輪の魔力に支配され、死ぬに死ねない存在となって本能的に襲って来るみたいだから、それは納得出来たけど、かつては善の仲間だったが悪の力の誘惑に負けたサルマンが、手を尽くし、策を弄して、オークやウルク=ハイ等を送り込み、旅を妨害し指輪を奪おうとする。でも指輪は生まれた国の炎の中でしか滅ぼせなくて、一行の行き先はそのモルドールだから、ほっといて黙って待っていればいいんじゃないかって思ったけど、それじゃつまらないか。

ファンタジーな映画なのにホビットは現実に存在するモルトビールやワインを好んで飲むんだ、まあビールやワインはそんなに気にならなかったけど、ソーセージを食べるカットには大笑いしたぞ。

2作目はモルドールへ向かうフロドとサム、メリーとピピンを救う為に別行動をとったアラゴルンとレゴラスの二つの物語が同時進行するのかな。それとサウロンから指輪を授かったエルフ族の3人は出てくるのかな。ちょっと楽しみ。

ちょっと記憶が曖昧なんだけど、ロリアンの森のエルフの女王のガラドリエルからボロミアは「あなたは自分の国を再興するでしょう」みたいな予言をされたと記憶してるんだけど、ボロミアは戦いで死んで、滝に流されたから、予言は少し違う内容だったのかな。

もう余り旅をしなくなった俺にとっては、旅をする映画はいつも特別の思いで見てしまう。ファンタジーな映画なら尚更その思いは強くなる。平和で暖かい雰囲気のホビットの村。幻想的で桃源郷のようなエルフの谷。余りにも壮大で息を飲んでしまったアルゴナスの門。実在するなら尋ねてみたい。旅する事は大変だけど、知ってるつもりでいても、行って見なけりゃ分からない事ばっかりだからね。そして旅が終わった後少しだけ成長した自分がいるんだ。

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