2002-3-3 『オーシャンズ11』 OCEAN'S ELEVEN

混み合っている映画館は苦手なんだ、ザワザワとした雰囲気は何となく落ち着かないし、スクリーンを見る集中力に欠ける気がする。公開から少し時間を置いて見に行ったんだけど、ありゃありゃビックリ、満員になっちゃったよ。それ程良くはない席を確保して映画スタート。「あれれ?、アンディ・ガルシアは仲間じゃなかったんだ」雑誌・TV等で色々な映画評が飛び交うのを極力無視して見に行ったつもりが逆に勘違いしてた。何故と言われても答えようが無いけど、映画館に貼られてるポスターや上映前に見たパンフレットの表紙にも一緒に映っていたから無意識のうちに思い違いをしてたみたい。ちょっと考えればTVのCMや予告編で“ターゲット”とクレジットされてたんだよね。11人対1人なんだからアンディ・ガルシア位顔がでかい存在感のある俳優じゃないとね。

「何かこの映画、盛り上がりに欠けるなあ」これだけの俳優が出演してりゃ主役級と脇役級の2つに分けられて当然だけど、その脇役の中に一人でもキャラが立ってる俳優がいたらと思う。脇役はみんなお笑い系に振られていたからね。車の運転手・ボディーガード・監視カメラを塞ぐ風船係・ホテルのボーイ・カジノの従業員と八面六臂の活躍をしてたバージル(ケイシー・アフレック)とターク(スコット・カーン)のモロイ兄弟にそのキャラを与えてもよかったと思う。だけど与えられたのはアドリブのセリフだけ。

各自が自分の作戦遂行中に必ずといって言い程何らかのトラブルに出会うんだけど全然ハラハラしない。そのトラブルが余りにも初歩的過ぎる。リビングストン(エディ・ジェイミソン)が配電室に小型モニターを置き忘れるシーンなんかがそれ。気付いた従業員も緊張感無さ過ぎ。「あんたら本当にプロ?」って思ったよ。

ビル爆破作業のお陰でラスベガスを停電させる手筈が狂ったバシャー(ドン・チードル)が次の手段として“ピンチ”?とか言う装置を盗む事を提案し、それを手に入れるシーンもちょっと納得いかなかったな。そりゃ盗みのプロだから手際はいいだろうけど、ライナス(マット・デイモン)の間抜けさ加減を強調しただけの気がする。その装置を使って停電させるところも「あっそう」で終わりだし、装置の作動も何となく『チェイン・リアクション』の一場面を見てるようだったからね。ところでバシャーは爆破のエキスパートとしてスカウトされたはず、でもその手腕を発揮するシーンはアタッシェケースに入っていた宝石に見せかけた爆弾を作った事だけ。中国人イエン(シャオボー・クィン)の金庫室での連続トラブルで印象薄くなってるし。彼は有線の起爆スイッチの使い手で、実際の爆破は無線の起爆スイッチだったし、あーそれで上手く爆破しなかった・・・のかな?。

IDカードを盗むシーン、偽物の集金カートを潜り込ませるシーン、金庫室へと潜入するシーン、いくら従業員やガードマンの事を調べ尽くしたといっても少し都合が良過ぎたかな、スリルに欠けてると思う。観客を引っかける為にオーシャン(ジョージ・クルーニー)とラスティ(ブラッド・ピット)が仲違いしたり、老人のソール(カール・ライナー)の体調が悪化して死んでしまうところも、もう少し作りこんで欲しかった。ラスティが医者に変装して登場するシーンは『スパイ・ゲーム』のようだったしね。そしてモニターに写る金庫室が実はビデオだったシーンは『スティング』のようには決まらなくってちょっと拍子抜け、特殊部隊スワットに成りすましてカジノから脱出して車に乗り込むと、見慣れた車内芳香剤がぶら下がっていて実は偽者のスワットだと分かるシーンもカジノを出たところでさっさとラスティがヘルメットのフェイスガードを上げて歩くんだ。逆のほうが効果的だったと思う。

しかし一番納得いかないのはオーシャンとラスティがカジノの金を強奪する為の第一段階として、とあるビルのオフィスで金庫の図面を手に入れるシーンなんだ。あそこは一体何処で図面の持ち出しを許可したあの男は誰なんだよ。

この映画のジュリア・ロバーツは輝きが無かった。いつも口を真一文字に結んでいるし、歩く姿も前屈みで肩を左右にゆすりながらグルグルと回すように歩くのはちょっといただけないなあ。やっぱり大きな口を開けて笑ったり、もっとはしゃいだ感じの役のほうが合ってるよ彼女には。

これだけの出演陣で監督がソダーバーグなのに薄いんだよね印象が。もっとパシパシと切れ味鋭く手に汗握るように作れたと思う。仲間内でワイワイと楽しかった雰囲気は見て取れるけど本当にもったいないよ。実際のカジノのほうが楽しかったのかな。これでジョージ・クルーニーもハリウッドの顔役に成れるかもね。

色々と辛口で書いてきたけど、素晴らしいと思える所もあるんだ。銃を撃つシーンが無かった事・悲惨な暴力シーンが無かった事・そして誰も死ななかった事。それらを考えるとスマートで粋な映画なのかもしれない。

営業面で使えなかったのかもしれないけど、ポスターは前売りのチケットに印刷されてた黄色のメインカラーにモノクロのスーツのほうが断然格好いいと思う。いやーこれだけ大勢が出演してるからこんなに長くなっちゃったよ。

『映写室から』TOPへ