2003-7-6 『マトリックス リローデッド』 THE MATRIX RELOADED

一作目の『マトリックス』を観たのは1999年の7月はすごく暑い日だった。場所は新宿厚生年金会館で公開直前の試写会だった。まだまだ『マトリックス』のファンは少なくて、キアヌ・リーブスのファンや試写会ヲタクばかりが並んでたのを覚えている。それに比べて今年の7月は何年振りかの典型的な梅雨だ。『ソラリス』を観た時に『マトリックス リローデッド』のロゴが光るコップのコーラを買ったから、今回は『ターミネーター3』コンボ(フィギュア付き)を買う事にした。何か順番がずれてるなぁ。

一作目のように一話で完結した話ではないので、見終わった時にある程度不満というか消化出来ない事があるのは仕方ないよね。映画の中ではあのスミスとの戦いからどれ位の時が経ったかは説明されてないけど、再びダイエットをやり遂げたキアヌ・リーブス演じるネオは凄まじいばかりの力を身に付け、キャリー=アン・モスのトリニティは少し老けたかな?そしてちょっとやつれ顔に見えた。聖母のようにネオに対して無限の愛情を注ぎ込む。タンクがまさか死んだ設定になっているとはね。結構好きなキャラだったんだけどな、ギャラの関係で出演しないのは知ってたけど・・・。モーフィアスはネオが救世主である事を信じ、戦いの終結に対する自分の信念をより強く持つ設定になっていたね。

ザイオンに帰還したネオを供え物を持って迎える人々を描いたカットは、キリストが巡教の旅を終えてナザレに帰ると、村の人々が供え物を持って迎えるという故事に基づいた事を反映したカットだよね。ネオ=救世主を予感させてくれる。たった25万人しか居ないザイオンの人たちを描いたシーンは見た目には間延びするように見えたけど、人の生きる力や未来に対する希望、精一杯生きようとする人間の本能が表現されていたと思う。スクリーンの色処理の関係かもしれないけど、ザイオンってカラードの人たちがかなり多く住んでるように見えた。マトリックスの中では結構白人が多かったよね。何か意味有るのかな?

新キャラクターのキッドやナイオビ、仲間の船のオシリスの事などは『アニマトリックス』を観てた方が良かったかなと一瞬思ったけどストーリー的には観て無くても理解は出来ると思う。一作目はほとんどがマトリックスとネブカドネザル号の中での話ばかりだったのに対して、今作は登場人物やストーリーが大きく広がっているから、新登場のキャラは一作目に比べて印象が薄い感じがするんだよね。そのくせ思わせぶりなネーミングがされているもんだから、ついつい深読みをしてしまう。ネブカドネザル号に補充された乗組員がリンクたった一人なんて任務の遂行に支障はないのかな?

100人のスミスとの戦いはあまりにも長くて、そしてあまりにも凄い映像で頭の回路がショートしちまった。呆然と見ていたよ。「もしかして笑う所?」なんてトンチンカンな考えも浮かんだ位だ。殴っても蹴っても次から次へとスミスが現れて来るんだもんな。そりゃ嫌になって空に逃げるよね。戦いの最中のネオの顔と体がアニメの様な顔になってたよね。

それにしてもこのカットは凄すぎる! どうやって撮影して、どんな風に処理し、どのように編集したのか理解の範疇の外だよ。全く分からない! 「CGだからどんな映像でも可能だ」って簡単に思ってしまうけど、誰も見た事が無い、誰も作った事が無いCGを手がけるという事は、ソフトやハード、そしてカメラも全て新たに開発しなければならないって事だ。撮影する前に気が遠くなる準備が有って、撮影後はまたまた気が遠くなる編集作業があるって事なんだよね。このカットは俺たち観客に対して見せてるんじゃなくて、映像に携わってる人たちに対して「これでも真似出来るか!」と言うメッセージなんだと思った。

予言者(オラクル)を護衛してたコラムニストの勝谷誠彦にソックリだったセラフ(注:熾(し)天使 の事。9天使中最高位の天使)は「新手のエージェントか?」と思ってしまう位の存在感が有った。ただネオを認証する方法がカンフーとは・・・。キーメーカーを手中にしてたメロヴィンジアン(注:イエスの跡継ぎが南フランスに建国したメロビング王朝の王の事。イエスの血統を守る為のシオンの修道院が有ったと伝えられている。だからフランス語を話すのか)は妻(?)のパーセフォニー(注:冥界の王ハデスの妃。春の擬人化)曰く昔はネオの様だったらしい・・・ 最も古いプログラムと説明されてたし、ザイオンとシオンはシンクロしているから、もしかして最初の救世主のなれの果てかな?なんて思った。 撮影終了後にオラクルを演じてたグロリア・フォスターが亡くなったらしい、あの慈愛に満ちた眼差しと心を穏やかにしてくれる話し方、すごく好きでした。残念です。

エグザイルのキーメーカーが本当の鍵職人だったのには大笑いした。まさかアジア人が、それもあんなにサンバイザーが似合う俳優がいるとはね。クールなキャラクターばかりの中では異彩だよね。しかし行動はかっこよくてクールだった。

サングラスはウルトラマン。空中に飛び上がる様は幻魔大戦の東丈。空飛ぶ姿はスーパーマン。そしてジェダイ風の衣装に評議会なんてスター・ウォーズだ。アクションはカンフーと剣術。好きな物に対してのオマージュだよね。俺にとっても好きな物ばかりで嬉しかった。

高速を走るバイク(ドゥカティ)を追うカットはバイクの動きを追うように移動してたカメラが、そのうち高速を走る車の下を通り抜けていくカットになる。「まぁ、よくあるカットだな」と思いながら見ていると、画面の下の方には横を走るバイクのタイヤが見えてるじゃないか! カメラは車の下を通り抜けてるんじゃない! カメラの中心は車の中に有る。カメラは車とぶつかるけど何事も無かったかのように車をすり抜けてる。一体このカットもどうやって撮ったんだ。いくらCGだって分かってても、またまた理解不能だ。

現実の世界でネオがパワーを発揮させたカットはすごく重要な意味を持っていると思う。真の救世主になり始めたのか?それともモンスターになるのか?現実の世界だと思ってた世界もマトリックスなのか?スミスがネオによって新たな力を得たようにトリニティーを復活させた事でネオも新たな力を得たのか?色々な謎が出まくりで考えが纏まらないや。いやが上にも『レボリューションズ』(何故に複数形?)への期待が膨らんでしまう。

何を伝える為のカットなのか?キャクターが持つ名前と設定の意味は?そして新たな理解不能な謎。一度見ただけじゃ分からない事ばかりだ。とりあえず後一枚チケットは持っているので、また見に行きます。

おまけ。ジャンルを問わず何でも手がける女性の大御所翻訳家じゃなくて『スターウォーズ<<特別編>>』の林完治の字幕スーパーでほっとした。最近あの女性の翻訳は意味が通じない所があるんだよね。

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