2004-06-06 『クリムゾン・リバー2』 黙示録の天使たち THE CRIMSON RIVER 2 Angels Of The Apocalypse

パンフレット

1作目を見てから、もう3年も経ったんだ。まさかパート2が作られるとは思っていなかったよ。2つの事件が1つに繋がり、2人の刑事が犯人を追いはじめるというストーリは、美しい映像も手伝って、結構面白い展開をみせていたのに、実は双子でしたというオチに「あちゃー!」と頭を抱え込んだ事を思い出す。パート2はリュック・ベッソンが脚本を書いているらしいが、期待半分、不安半分かな。昨日のうちに買っておいたチケットを手に、会場へと向かった。


サブタイトルの『黙示録の天使たち』は日本で勝手につけたものだと思っていたら『Angels of Apocalypse』と、しっかりクレジットされているじゃないか!期待が4、不安が6になっちまったよ。

フランスの田舎の古びた修道院(ということはカトリックだね)。その13号室の壁の中から、十字架に磔になった死体が見つかり、ニーマンス/ジャン・レノが捜査に現われる。「なかなか興味を引くはじまり方じゃないか」 ニーマンスは特別捜査官らしいけど、何故1人で行動するんだろう?

相棒となる元教え子のレダ/ブノワ・マジメルはキリストに似た男を車で撥ね、病院へ運ぶ。その運び込まれた病院で、マントを頭から被り、顔が無い謎の男がキリスト似の男を殺そうとしているところに出くわしたレダは追跡をはじめる。謎の男は塀を飛び越え壁を攀じ登り、ビルからビルへ、屋根から屋根へ飛び移り追跡をかわして逃げて行ってしまう・・・これって『ヤマカシ』なんじゃないのかな?でも銃弾を受けても平気というのは・・・。


共に捜査をはじめるニーマンスとレダの前に、第一の殺人事件と関係するかの様に、キリストの12使徒と同じ名前、同じ職業の人たちが次々と殺されてしまう。この辺りはテンポも良くて飽きることなく見ることが出来たけど、キリスト教徒にとっては常識的な事なのかもしれないけど、12使徒の名前や職業の事なんて殆んど知らないから、俺にとっては「へぇー、そー」という感じだ。そしてスーパー・マーケットの中で殺人が行われるシーンは無茶苦茶だよ。人が殺されるかも知れないのに、向かったのはたった2人だけだ。もっと大勢の警官を連れて行けよな。

1作目の時にも思ったんだけど、フランスの男というのは暇さえあれば女性に声を掛け、男同士では下らない話を延々と続けるもんなんだね。


12使徒を名乗るカルトな人々が手に入れた古い教会にはキリスト教に関する“宝”が隠されているらしい。それはキリスト自らが書いた書物らしい。このあたりからストーリーは一気に加速し、俺には理解出来ない謎を残し始める。

どうやら親玉らしいベルギーの外交官を名乗るヘメリッヒ/クリストファー・リーが、十字架に磔になった死体が見つかった修道院の神父(カトリックだから)たちとの関係が明らかになると、死体を教会に隠してあった事の意味が無くなったじゃないか。どう考えてもおかしいよね。だってヘメリッヒと修道院の一派は人知れずに12使徒を名乗るグループをこの世から消し、秘密裏に“宝”を手に入れたいはずなんだ。人の出入りが少ない修道院の中に死体を隠すのは判らんでもないが、十字架に磔にするなんて、事件の大きな手掛かりを自らが残してるし、新しく赴任した神父が、その部屋に簡単に、そして勝手に入ってしまう事って有りか?余りにもユルすぎるよ。部屋のナンバーが“13”というだけで誰も入らないと思ってたのかな?


銃撃戦で弾丸が飛んで来る軌跡が目に見えるような映像になっていたけど、それ程目新しい物には思えなかったな。ジャパニメーションで見たような気がする。それより手を縛られ吊り下げられている2人の横に立つクリストファー・リーを見た時、デ・ジャブーに襲われた。あのカットって、『スター・ウォーズのエピソード2』のドゥーク伯爵が吊されたオビ=ワンとアナキンの横に立つカットにそっくりじゃないか!

ヘメリッヒが古い教会の下の部屋を初めて見たのは第二次世界大戦の時で、それから色んな研究をしたと言ってたけど、その部屋の何がそんなに気になったのか全然説明が無いんだもん。

きっとキリスト教に関する“宝”はロタール1世の墓にあったあの書物なんだろうけど、書物を取り上げた時に大量の水が流れ出る仕掛けの意味が判んないよ。後世の人に読まれて困る物なら残さなけりゃいいのにと思ってしまう。


超人的な行動力の裏付けがアンフェタミンだったというのは頂けないよね。興奮剤だろ。マントを頭から被った男たちは、興奮して飛び跳ねてたのかい。ステロイド系の筋肉増強剤とか恐怖心を取り去ってしまうような強力な麻薬を使っていたと言うなら分かる気もするけどね。それにしてもあっという間に溺死してしまうのには呆気に取られたぞ。不死身の戦士だったのでは?

ニーマンスとレダがアンフェタミンをもう少し早目のカットで飲み干しておいて、堅くて動かないハンドルを回すところで効きはじめるという方が面白かったのでは? 水に追われて逃げていくシーンもありきたりな気がする。『ダイ・ハード3』や『デイ・ライト』の方が迫力があったよ。


光と影を効果的に使ったり、草と枯れ木に覆われている修道院。石造りの警察署。そして田舎の田園風景など映像的にはハリウッド映画には無い深みと美しさがあったと思う。ストーリも「あちゃー、やっちゃったよ」と頭を抱える事は無く、それなりに練られてはいるんだが、俺がフランス人では無く日本人で、キリスト教徒じゃなく仏教徒だからかもしれないけど、固有名詞や地名。歴史的なことが一切の説明無し。ロタール1世。棺を開ける鍵。マジノ線。セロデ党にモンタナス派・・・。全然知らないことばかりだけど、それが伏線になってるの判るよ。ストーリが展開し始め、それにスピード感を加えようとして、次々に進んでいくから消化不良気味になるんだ。そして多くの伏線を張った割には、エンディングは何故かハッピー・エンドだ。う〜ん。


書物を持ち上げたら、大量の水が出る仕掛けが必要なら、棺を開ける為の鍵は必要じゃないはず。最大の関心事の“キリスト直筆の書物は有ったか?”には何の説明も無し。これじゃ、「現在に蘇ったナチの残党が勝手にフランス国内で、思い違いの末に12人の民間人を殺しました。酷いでしょドイツ人は」と訴えてるようにしか思えないよ。“ドイツ人が悪人”という設定も今更の感じだと日本人なら思うかもしれないけど、「フランス人、特にリュック・ベッソンは心の底から嫌いなんだろうな」と思ってしまうよ。

そして、『黙示録の天使たち/Angels of Apocalypse』のサブタイトルは予想通り、思わせぶりでした。


ニーマンスは特捜の刑事という設定だったよね。でも、たった1人で事件現場に現われ地元で専門家(マリー)を集める。何でそんなまだるっこしい事をするんだ。猟奇事件に備えて普段からプロジェクト・チームを組んでるべきだと思うぞ。でもそれじゃ映画としてつまんないと考えたかも知れないが、プロジェクト・チームでも解決出来ない事を解決出来る存在でマリーやレダを登場させた方がより面白くできたかもと、勝手に思い上がってしまった。


そんな思いを胸に家に帰り、テレビのスイッチを押したら、1作目の『クリムゾン・リバー』をやってるじゃないか。見て驚いた。ジャン・レノの髪の毛が一杯あるじゃないか。

色々好き放題書いたけど、もしも 『クリムゾン・リバー3』が完成し、公開される時は、何処かの劇場の中に俺は座っていると思う。


 

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