パンフレット2004-03-27 『ロード・オブ・ザ・リング』 THE LORD OF THE RINGS
RETURN OF THE KING

『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』が公開されるかなり前から前売り券を手に入れていたんだ。でもその前売り券は週末に優先的に座席が確保される類の物ではなく、単なる前売り券といういたってシンプルな物。公開直後はその手の前売り券を持っている人たちで(リンガーズか?)スクリーンを見やすい座席は全て埋まってしまうだろうから、少し落ち着いた頃に見に行く事にした。

終わったー。遂に完結だ。見事じゃないか。まさに『感動のクライマックス』だね。3時間半という長い作品だったけど、飽きる事やダレル事もなくスクリーンに釘付けだったよ。

『二つの塔』のオープニングのように前作のエンディングと繋がった形ではじまると思っていたら、スメアゴルのエピソードからはじまるもんだから、呆気に取られた感じで「へーぇ」と見ちまった。切り替わったカットは、見事に前作の続きからだった。監督のピーター・ジャクソンが「そんなに入れ込むなよ」と言ってるようにも思えたよ。

滅びの山を目指すフロドとサムは、衣装だけでなく髪の毛はボサボサ、顔も汚れていてもうボロボロじゃないか。厳しい旅を続けているのだから汚れていて当然なんだけど、1作目より2作目、そして3作目と旅の厳しさと同調しているよね。それが見ている者にとっては、自分も一緒に旅をしているように思えてしまうんだ。フロドとサムを動かしているのは“指輪を捨てる”という決心のみ。体はただそれに従って動いているにしか過ぎない。

今作もまたCGのレベルがグンとアップし、それに伴って映像の作り込みに一段と磨きが掛かっていた。ニュージーランドの何処かに実在するであろう風景と見事に溶けあって素晴らしいものとなっていたね。岩山に寄り添うように建っているミナス・ティリスは特に素晴らしく、全景はいうに及ばず、高い位置から白馬に乗ったガンダルフが駆け上がっていくシーンは息を飲むほどで、狼煙が次から次へと伝達されローハンにまで届くシーンは何も言えなくなるほど見事だったと思う。デネソールの前で歌うピピンの歌声は本人のものなのかな?予想外に美しい歌声でした。

ファラミアもガンダルフ達と共に戦うと思っていたが、ファラミアを嫌う父のデネソールの命令により死地に赴くシーンは、このシリーズで一番悲しみが溢れるカットだったと思う。映画と小説は伝え方が違うから仕方がないのかもしれないけど、ナズグルの首領のアングマールの魔王をエオウィンが倒すシーンでは「人間の男では倒せない」がキー・ワードになっているのだから、兜を被っているのがエオウィンだと分からない様な話の進め方の方が、分かった瞬間の驚きがあったと思う。ベレンノール野でムマキム=オリファント使いの部族のハラドリムとの戦いも迫力満点だった。そしてレゴラスは相変わらず格好良すぎる。あんだけ嫌ってたギムリとは片時も離れられなくなってる所も良いね。その戦いのシーンを見ている時に「あっ!これって!スター・ウォーズの帝国の逆襲のホスの戦いじゃないか!」と大声で叫びそうになった。「そうか。そうだったのか」約20年振りに新たな発見をしましたよ。

モルドールの黒門(ブラック・ゲート)での戦いの直前にアラゴルンが言う「フロドの為に」のセリフは胸にジーンと来るものがある。ローハンのヘルム峡谷の戦いに勝利した国王セオデンはゴンドールへの援護を最初は渋るが、フロドたちが指輪を滅びの山に捨てない限り、“中つ国”にも自分の娘にも平和が訪れる事は無い事を悟り死を覚悟して戦いに赴く。そして今や王となったアラゴルンも王となる事が最終目的では無く、フロド達を援護する事が自分の運命で有る事を示し、旅の仲間との約束を果たす為に命を捨てる覚悟を見せる。そしてその時アラゴルンは真の王となった。

滅びの山の溶岩を目の前にしたフロドが指輪の力で心が揺り動かされるシーンを見ている時は「早く!早く捨てろフロド!」と映画の中に入り込んでる俺と、「捨てたらもう映画が終わるんだ」と名残を惜しむ俺がいたよ。ところが、まさかあの場面でフロドが指輪をはめるなんて。まったく予想が出来なかったもんだから「あー!何て事を」と、またまた心の中で叫んでしまった。

スメアゴル(ゴラム)の中にある多重人格が「あの女。あの女」と言うのは指輪の擬人化の事だとずーっと思っていたよ。でも実は蜘蛛の化け物の事だと分かって、やっと納得出来た。指輪はサウロンと共鳴しナズグルを呼ぶ。しかしサウロンと一体化していない指輪は心を持つ者を誘惑する力しか持っていないからね。スメアゴル(ゴラム)の多重人格は、ぱっと見は二人なんだけど、前作の終わり辺りを見ていると三人位いたように思えのは勘違いかな?スメアゴルは最後までゴラムとして死んでしまったね。でも最後に指輪を我が物に出来たから、そういう意味では幸せだったかもし得れない。

アルウェンが森の中で見た、西の国への旅立ちを止めるきっかけになった子供は、リブ・タイラーとソックリ。「へぇーそっくりな女の子を見つけてくるもんだ」と感心したよ。子供時代の記憶が蘇ったのかと思っていたら、実は未来が見えていたとはね。そして父エルロンドとの会話の中に『息子』とあって2回目の「へぇー」だった。俺は女の子にしか見えなかったぞ。

一体何日間だったのか?何ヶ月の旅だったのか分からないけど、命を削り、“中つ国”を救ったホビット4人が帰った故郷のホビットの庄は、旅立ちの時と何も変わらなかったよね。旅を続けている間の風景は寒色系を使った作りで旅の厳しさを表現し、ホビットの村は暖色系を使って暖かい感じがした。そうだよここから旅が始まったんだ。そして何も変わらない日常が今でも続いているんだ。今目の前いる4人のホビットが世界を救ったなんて誰も知らないんだと思う。それはフロドから物語の続きを託された勇者サムが子供達に伝えていく物なんだと思う。そして共に勇者となったメリーとピピンも一緒になってね。

ビルボ、ガンダルフ、フロドの3人がエルフの船に乗って西の国へと旅立つシーンはなかなか理解する事が難しいよね。エルフ一族は遠い昔にサウロンと戦う為に“中つ国”へ移住した。しかしその為に滅んでいく運命を背負う事になった。その為女子供という弱者を運命から遠ざける為、西の国へ戻そうとする。それは西の国にいる限りエルフは永遠の命を持つ事が出来るからだと思う。

ビルボは年老い余命幾ばくもない。ガンダルフは劇中で「私の命も長くない」と言ってる。フロドは旅の途中でナズグルに刺された傷は治る事はなく、彼の命を蝕んでいくと説明されている。このまま“中つ国”にいる限り彼ら3人の命の灯火は燃え尽きる運命にあったんだ。

ビルボは指輪をフロドへと託した。フロドは傷つきながらも、指輪を滅びの山に捨てた。ガンダルフも年老いながらも旅の仲間達を導いて行った。その結果“中つ国”の平和だけでなく、エルフ族の滅びの運命を生きる運命に変えたんだと思う。それに報いる為に永遠とは言えないが、天寿を全うする事が出来る西の国へ彼ら3人を連れて行ったんじゃないかな・・・。ただしそれは2度と“中つ国”には戻れない旅立ちとなるんだ。

今作の『王の帰還』は完結編となるだけに全てのキャラクターが全員登場してたね。これ程までに作品を作り込むと流石に3時間半以上の作品でも後日談までは無理だったようだ。。ファラミアとボロミアの父のデネソールが何故ファラミアを嫌うのか?そしてまだ生きているファラミアを炎で焼こうとしたのか?異教徒とは?そしてエオウィンのアラゴルンに対する愛情は?レゴラスとギムリのその後は?。そしてアラゴルンが治める“中つ国”の未来は?・・・と知りたい事は沢山ある。関係ないかもしれないけど、パンフも1作目 < 2作目 < 3 作目と厚くなってるんだよね。

ペア・チケット

それは後日発売されるであろうスペシャル・バージョンのDVDを見れば全ての事が解決すると思う。でも自宅で完全版を見るとなれば1つの作品に半日は時間が掛かりそうだ。これは体力と集中力がいるぞ!

この映画を見終わって、旅に行きたい気持ちがすごく強くなってきたよ。もちろん映画の様な旅はご免だけど、旅先で色んな物を見、色んな物に触れて家まで帰ると、少しだけなんだけど自分が変わっている事に気付く事が出来るんだ。昔の様に長い旅行は今のところは、まだまだ無理だから、日帰りの遠出や、1〜2泊の旅からはじめようかと思ってます。

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