コンスタンティン2005-5-5 『コンスタンティン』 CONSTANTIN

ゴールデン・ウィークも半ばを過ぎた頃、俺と何時も一緒にいる『キアヌ大好き』な人が「そろそろ、映画を見に行こうよ」話しかけてきた。「特に見たい映画は無いんだけど」と言う俺に、「コンスタンティンの前売りを買ってあるから」と言う。「あなた。プレミア試写会で生のキアヌ・リーブスを見た後に、映画も見たんじゃないか。ところで面白かった?」と俺。「惚れるよ」と予想外の返事が返ってきた。「へっ!惚れる? 誰に」レイチェル・ワイズに? それともキアヌにかい?


メキシコでハーケンクロイツの旗に包まれた槍の穂先を、土の中から偶然に見つけた男は何かに取り憑かれた様に走り出す。そして直後、走ってきた車が激突し車は大破する。予想外の展開に絶句したぞ。しかし男は何事もなかった様に再び走り出す。その頃、ジョン・コンスタンティン/キアヌ・リーブスは悪魔に取り憑かれた少女の除霊をはじめていた。

この導入部分はかなり上手いと思う。あっと言う間に物語の中に入る事が出来たよ。これはもしかして面白かも。

そして、悪魔はこの世に現れる事は出来ない。天使か悪魔の血が混ざった『ハーフ・ブリード』だけがこの世に存在し行動する事が出来る。天使のハーフ・ブリードは瞳が白く光り、悪魔のハーフ・ブリードは赤く光るんだ。こうゆう設定は素晴らしいよね。

天使や悪魔そのものが出てくる映画は多数ある。彼らは無敵の存在で、それこそ何でも出来てしまう。そうなると、それを阻止する人間側のヒーローも超人的な人物に描かざるを得なくなり、「それは無いだろう」という活躍を見せる。その結果この世は救われました。目出度し目出度し。そんな脳天気な映画は見ていて頭が痛くなるからね。


アンジェラ・ドットソン/レイチェル・ワイズに双子の妹イザベルがいるなんて知る訳が無いから、ビルから飛び降り、その直後に目を覚ますシーンは、この手の映画にありがちな悪夢か予知夢だと思っていたよ。でもストーリーはそのまま進んで行く、「ええっ! 話の筋が合わないぞ」と、思っていたら実はドットソンは双子だったなんて・・・。

コンスタンティンとドットソンはその後に、映像だけだったけど、そこそこの説明はあったが、ヘネシー神父、ビーマン、チャズの3人は設定も背景も、そして何の説明も一切無しのままストーリーが進んでいたよね。これは次回作が過去を描いた作品になるから、それを考えて詳しい説明を省いたのかな? なんて早くもストーリーとは無関係な深読みをしてしまったよ。


死者の声を聞くことが出来る力を持つヘネシー神父がコンスタンティンに頼まれて、自殺したイザベルの遺体を調べ、手首に残る傷跡(出血の後?)を見た瞬間、驚愕し大慌てで酒屋(コンビニ?)に飛び込み、手当たり次第に酒瓶を開け呑もうとするが、ヘネシー神父は呑む事が出来ない。背後には高級スーツを身にまとい、何故か靴下は赤いバルバザールの姿が。

そしてヘネシー神父は急性アルコール中毒で死んでしまう。飲めなかったのはバルバザールが作り出した錯覚で実際は何本も開けていたんだ。

ここら辺りで俺はこの映画は面白いと確信したよ。アルコール中毒の神父が急性アルコール中毒で死ぬ。その神父の名前が『ヘネシー』とはね。ブラック・ジョークがきつい気もするが、「やるじゃんか」と思った。


見ていて飽きさせない作りになってると思ったのは、コンスタンティンが手にする武器やアイテムが多様だった事だ。ビーマンが手に入れ、コンスタンティンに渡した途端に次々と威力を発揮するんだもんな。でも一番威力を発揮したのは咳止めの瓶かもね。それを呑んでしばらくは咳をしていたが、気付いた時には、見事に咳が治まってたよね。

昼間の映像、特にメキシコで顕著だったけど、茶色を強調し、アメリカの街中では夜の闇が効果的に使われていたと思う。でもその時に現れた虫は気持ち悪過ぎだよ。真夜中の濡れた路面の上へ暗闇から次々と現れる虫たちを見せられて「げー」となったぞ。


地獄にいる悪魔達の描写は大した物じゃなかったけど、俺にとって予想外だったのは、地獄もこの世と同様に時代が進んでいる事だ。その上荒廃し、悪魔が人間を支配している事だった。俺たちが生きてる現代が地獄になっている設定に「へぇ〜」と思ってしまった。キリスト教の地獄観がどんな物か知らないし、まして俺は日本人だ。『血の池地獄』というようなものを漠然とイメージしてたよ。

イザベルは自殺したから、神に祝福されない。だから地獄に行く。コンスタンティンは過去に2分間だけ、自殺した過去があるから天国には行けない・・・。この辺りから、自殺という物がテーマになってるのかな?と思った。

ところで、イザベルは何故自殺したんだっけ? 監視カメラやパソコンのモニターの中でも何度か映像が繰り返されたけど、良く判らないぞ。霊や魔物に対して敏感な体質だった事は分かったけど、もしかしてアンジェラのパソコンのモニターの中で何度かリピートされた映像の中で、たった1度だけ「コンスタンティン」と呟くカットを入れ、アンジェラとコンスタンティンを結びつける為だけの設定だったのかな?


『ガブリエル』という名を持つハーフ・ブリードが登場した時、「あれ?ガブリエルって天使じゃん」って思ったけど、単に名前が同じだったのね。そして背中に生えている羽が黒かった設定も良しだね。

何故、バルバザールはビーマンの家にコインを落としていったのか? ヘネシー神父とビーマンを相次いで亡き者にし、その勢いを借りて普段から苦々しく思っていたコンスタンティンを「聖水」を持っているとは思わずに、地獄に送ろうと誘ったのかもね。

態度と存在感からすれば、ちょっと弱すぎかもよ。でもビーマンの死体から蠅が出て来るのは凄く気持ち悪かったよね。それも何匹も何十匹も何千匹もだ。うえ〜。


冒頭で描かれていたメキシコでのシーンを、コンスタンティンがミッド・ナイトの椅子に座って時間を遡り追っかけて行くシーンも「ほーこうなってたのか。だから、運命の槍を手にした時、あの男は何かの気配を感じで振り返ったのね」と感心したよ。

ミッド・ナイトも見た目と存在感が釣り合わない人物だったよね。「俺は中立だ」を繰り返すばかりで。もっと活躍するのかと思っていたのに・・・。


自殺したキリスト教徒は、教会で葬儀を行う事が出来ない。そして天国に行く事も出来ない。その事は劇中でも描かれていたし、俺も知識としては知ってはいるけど、それがどれ位の苦痛を伴うかは俺には判らない。

多分、想像が出来ない位の苦しみの中でコンスタンティンは生き、病気とも闘っていた。天国への望みを繋ぐため、この世で悪魔払いを続けていた。余命は後一年しかない。でも未だ天国への許しは出ていなかった。

マモンの誕生を目論む首謀者はガブリエルだった。コンスタンティンは全く歯が立たず、ガブリエルの手には『運命の槍』が握られ、マモンの誕生はすぐそこに迫っていた。でも外反母趾ぐらい自分のパワーで直しときなさいよ、ガブリエル。コンスタンティンを踏みつけるカットでしっかりと写ってましたよ。

マモンの誕生を防げないと思った瞬間、コンスタンティンは再び自殺を図る。それは自分の命と死後に天国へ行くという望みを捨ててまで賭けなければならない戦いだったんだ。「人が死ぬ時に地獄では時間が止まるんだ」と言ってたコンスタンティンの言葉通り、時間は止まった。そしてコンスタンティンが登場を望み、そのコンスタンティンの死を待ち望んでいたルシファーが降臨して来る。

地獄の大物ルシファーが上下白いスーツを着てこの世に現れるのを見た瞬間、「こりゃ、洒落がきつ過ぎ」と心から思ったよ。「マジかよ」と言っちゃったもんね。


マモンが掟を破りこの世へ出ようとしている事。それをガブリエルが手助けをしている事を伝える。ルシファーが飛び散っているガラスの中を歩いて行くカットは、C.G.と実写が見事に融合していて見応えがあったね。

マモンの誕生が阻止され、約束通り地獄へ連れて行こうとしたら、コンスタンティンは既に神に許されていて、天国へ連れて行かれようとする。ここでルシファーに対して中指を立てるなんて、凄過ぎだコンスタンティン。地獄へ連れて行く事が出来ると喜んでいたルシファーは怒り、病魔を取り去って生き返らせてしまう。

ここがいまいち納得出来なかったんだよね。神に許された訳だから、生き返ろうがどうしようが、コンスタンティンは天国に行ける事が約束されたんだ。その人間の寿命をルシファーが伸ばしてやる意味が良く判んないんだよね。もしかしてマモンの件を伝えてくれたお返しだったりして? それとも神に対するルシファーの嫌がらせだったのかも。正解は“ルシファーは素直になれない性格だった”が正解かもね・・・。


「人が死に直面する時に、時間が止まるんだ」というより、俺は刹那の中での出来事だと理解した方が納得出来た。この世は普通に時間は過ぎていて、ほんの一瞬の時の中でルシファーとコンスタンティンは出会って生き返ったという事だと思ったけどね。

それと、初めから最後まで大いに勘違いをしている事が有った。冒頭に登場した『運命の槍』の事なんだ。俺はコンスタンティンが窮地に陥り、万事これまでとなった時に、最後の切り札としてのアイテムなんだと思っていたら、マモンをこの世に誕生させる為の物だったとはね・・・。勝手な思い込みはダメだね。


ラストでチャズがハーフ・ブリードの姿になり、空へ駆け上がった行ったよね。最初からハーフ・ブリードだったのか?死んでハーフ・ブリードになったのか? 映画を見た時は何の疑いも無く元からハーフ・ブリードだったんだと思ったけど、今考えると、何故コンスタンティンは気付かなかったのか? と思い始めたよ。死んでハーフ・ブリードになる理由が見当たらないから、元からハーフ・ブリードだったんだと思うしかない。ミッドナイトが「戻ったら会員にしてやるよ」と言う台詞もあったし、コンスタンティンも“にやり”と笑っていたから知っていたんだよね。

そして、ヘネシー神父。ビーマン。チャズと仲間が一気にいなくなると、これから先の仕事に不都合をきたすんじゃないかと他人事ながら心配しちゃったよ。


この映画は凄く面白かったよ。ジョン・コンスタンティンに惚れるかも。でもコンスタンティンの格好は昔、週刊少年ジャンプで連載してた『地獄先生ぬ〜べぇ〜』みたいだったけどね。

そして良かったね、キアヌ・リーブス。この映画の成功で、肩書きが“あのマトリックスのキアヌ・リーブス”から“コンスタンティンのキアヌ・リーブス”に変わるかも。でも単にプラスされただけの“マトリックス・コンスタンティンの”になったら悲しいね。ハハハッ。


コンスタンティン

家に帰る途中、頭の中に閃いた事が2つあった。1つは、最初に除霊された悪魔がコンスタンティンは戦士と言ってたけど、実はマモンだったんじゃないかと言う事。これはもう一度見なきゃ分かんないよね。もう1つは『マモン』て言う名称を知っていた事なんだ。考えた末思い立ったよ。永井豪の『デビルマン』の主人公、不動明の体に入り込んだデーモン族の名前が『マモン』だったはず。

でもそれは俺の全くの勘違いでした。『マモン』じゃなくて『アモン』でした。惜しい。


刹那 : 0.013秒の事、もしくは指をパッチンと鳴らす間の65分の1の時間の事。何のこっちゃい。

『映写室から』TOPへ