ダ・ヴィンチ・コード2006-06-24 『ダ・ヴィンチ・コード』 THE DA VINCI CODE

約9ヶ月半振りに劇場へと足を運んだ。去年の夏にスター・ウォーズ・エピソードVを怒濤の6本連続観劇という自分なりの偉業を達した後の燃え尽き症候群にハマってしまってしばらくは映画と距離を置いていた。

劇場に行かないという事は、予告編を見る機会が無い。元々から映画雑誌も見ないから、何が新作で何が話題作か全く分からない状況に落ちいっていたんだ。


そんな俺でもこれだけ世間が大騒ぎすれば『ダ・ヴィンチ・コード』の噂が入ってくる。なかなかの評判らしいね。以前から書店では目にはしていたんだ。その時から何となく『Out Rageous』なニオイも感じていたんだ。『Out Rageous』とは『突拍子も無い事』という意味。いわゆる『トンデモ』の事なんだ。


ロンギヌスの聖槍、トリノの聖骸布。日本の御輿の原型になったと言われる聖柩。フリーメイソンやロスチャイルド家が世界を牛耳ってる。等々・・・。殆ど信じちゃいないけど、オカルト系を除いたその手の話は大好きなんだ。もう即決めたよ、絶対見に行く事をね。

ただし公開直後は混んでるだろうから時間を置いて見に行くつもりでいたら、雑誌やTVで特集が目白押しだ。これじゃ、見なくても内容が分かった気になっちゃうよね。


オープニングからしばらく経つと、ソニエール館長の殺害シーンがある。ありゃ!オプス・デイの修行僧のシラス(台詞ではサイラスと言ってたぞ)は生死を確かめずに立ち去って行くじゃないか!!館長は腹をおさえながら美術館の中を動き、何かを始めようとしてる。

TVや雑誌で何度も紹介された、ダ・ヴィンチの素描(ウィトルウィウス的人体図)に模した死体がルーブル美術館のグランド・ギャラリーで見つかった。でも殺人犯がそんな風にしたんじゃなくて、撃たれた後に全て館長がやったのね。「う〜ん」

既に仲間の3人が死んでいると事が分かり、重大な真実を知っているのが自分一人になりメッセージを残さなければならない事は分かるけど、腹を撃たれて、メッセージを残したり、鍵を隠したり出来るもんなのかね。

オプス・デイの修行僧であるシラス(魚の白子干しみたいだ)/サイラスの“肉の苦行”を描いたシーンは大丈夫かね?オプス・デイは実在する団体で日本にも支部があるんだよ。俺は知らないけど、そんな風な認識があるのかね。


ソニエール館長と会う約束を交わしていたラングドン教授/トム・ハンクスは重要参考人としてルーブルに連れてこられる。フランス警察のファーシュ/ジャン・レノから色々な事について質問を受ける。その時、ソニエール館長の孫娘でフランス警察の暗号解読の専門家のソフィー/オドレイ・トトゥが唐突に登場する。

ソフィーが言うには、ファーシュによりダイイング・メッセージは改竄されていて、ラングドンは犯人として疑われている。その証拠に発信器がポケットに入れられていた。

ルーブルの外を走るトラックに発信器を投げ入れ、警察が出動する隙にダイイング・メッセージを解読しスイス銀行の貸金庫の鍵を見つける。瀕死の状態で色んな事をやったんだね、ソニエール館長は。

噂通りに展開が早いね。トントン拍子に進むじゃないか。

ダイイング・メッセージを読み解くと、次々とメッセージが現れる。それを解いていくと、鍵(アイテム)を見付ける事が出来るなんて。バラエティ番組の宝探しのコーナーを見てるようだと思ってしまいました。


銀行に着いても話のテンポの良さは一向に変わりがない。到着したかたと思ったら、警察も駆けつけ、貸金庫の中に入ってた暗号解読器を取り出したらすぐに“夜の支配人”が運転するトラックに乗せられ、何処とも分からない郊外へ連れて行かれる。

いきなり登場の“夜の支配人”って何よ。全然意味が判らないよ。当然スイス銀行に関わる事なんて詳しくはない。スイス銀行は24時間営業で昼と夜とで支配人が違うのが普通なのかな。でも、そんな事は無理があるよね。英語の台詞は聞き取れなかったけど、もしかして、もしかして、字幕は“あの人”なのか!?

そして“夜の支配人”まで暗号解読器を奪おうとするが、あっけなくラングドンに倒されてしまう。その後のシーンを見ても一体何者だったのか判りませんでしたよ。

通常、これだけ話のテンポが良い物語をジェット・コースター・ムビーなんて表現をするけど、あんまりハラハラしないね。


サー・リー/イアン・マッケランの屋敷に到着してからの内容は、俺の知的興味を刺激する内容だった。最初の方でも書いたけど、この手の話には目がないからワクワクして見入ってしまった。

キリスト教の聖書を作ったのが当時のローマ皇帝のコンスタンティヌスだったのには「へぇー」と思ったよ。でも、よく考えると古い聖書はギリシャ語で書かれていた事を思い出した。その後、ヴァチカンがはラテン語版の聖書を使う様になるんだもんな。

『最後の晩餐』の絵に隠された秘密も面白かったけど、逆三角形が女性、正三角形が男性を示す事はよく言われる事だ。それをイエスと左側の人物との間のスペースが逆三角形だから左側の人物は女性で、その女性の名前は“マグダラのマリア”だというのはすごい発想だと思うよ。でも、あの〜、その人物はヨハネですけど・・・。

テーブルに乗っているはずの聖杯が何故か描かれていない。それは“聖杯とはイエスとマリアとの間に生まれた子供(サラ)を指してるからだ”。

いやー、これは本当に面白いぞ。『Out Rageous/トンデモ』炸裂だ!。


テンプル騎士団が処刑される事についても、「へぇー、そうきたか」と思った。映画では“キリスト教の創生時の事実と聖杯の秘密”を知った事により、富と財産を得る事が出来、一大勢力を築き、それをフランス国王が潰す為に処刑した。そんな風に描かれていたよね。

俺が知ってるテンプル騎士団の処刑は、騎士団と言うが、日本の侍や武士とは全く違う存在なんだ。テンプル騎士団を構成する人々はキリスト教の聖職者で、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪回する為に武装し、キリスト教徒が巡礼するする際の安全をも守っていたんだ。

それに伴い必然的に築き上がった金融と経済のネット・ワークを手に入れる為、フランス国王が自分の息子をテンプル騎士団の長に納めようとゴリ押しをしたのを拒否されたからだと記憶しているよ。


シオン修道会の件も発見し発表した本人が「あれは嘘です」と証言してるはず。TV・雑誌等々では殆ど触れられて無かったし、あったとしても「偽書の疑いを言われてる」位だったね。

そうは言っても、“シオン修道会”の話は、この映画にリアリティを持たせる要因の1つになってると思うよ。イエスの子孫を守る為、キリスト教創世時の秘密を守る為、歴史的な有名人が名を連ねる。こんな事を目の前に並べられると、はったりが効いていて心がワクワクして躍ってしまう気分を味わえるよ。

それにしてもシオン修道会の総長リストに名を連ねてる人の名前が凄すぎるよね。当時はどうだか知らないけど、今じゃ歴史的な有名人ばかりだ。

初めてその事を本で読んだ時は、本当に驚いて信じそうになったよ。でも、あまりにも有名人ばかりな事が逆におかしいと思ったんだ。キリスト教の根幹に関する秘密を守る集団の長が有名人でなければならい理由は無いよね。逆に目立ちすぎるんじゃないか?

陰から支援してたという方がまだ信憑性があると思うよ。家に帰って見たパンフレットに“偽書”の話が書いてあって一安心したよ。

でも、『Out Rageous/トンデモ』な人たちは、それこそが陰謀と言うんだろうね。それ、それこそが俺が好きなところなんだ。


ところで、宣伝でバシバシ登場してた『モナ・リザ』についての秘密の解釈があるのかと期待してたけど、案の定肩すかしでしたね。キリスト教と『モナ・リザ』に関しての話は聞いた事が無いから、メディアのミス・リードなので?(おお!戸田さん風)と思っていたが、どうやら当たってしまったようだ。

そして字幕にも何やら疑惑の影が見え隠れしはじめたぞ・・・。もしかして“ナッチ”か?


サー・リーの屋敷を襲ったシラス(サラス)を逆に捕まえた一行はイギリスのスコットランド地方へと飛ぶ。到着した際のトリックもテンポ良くすぐに種明かしだ。車の中は捜さないのかね?

万有引力を発見したらしいニュートンの墓があるテンプル寺院で何やら調べ物をしていたかと思うと、一行はまたフランスへ戻り、その足で南フランスへと足を運ぶ。「それって“メロビング王国”に行くんだろ?」と一人で盛り上がってしまいました。『マトリックス』の役名の『メロビンジアン』の意味を調べた時に、イエスの正当な血を引く一族が南フランスに建国した“メロビング王国”の事を知って驚いた事があったんだ。

でも、俺が知ってる事なんてキリスト教徒なら常識として判ってるんじゃないかと思うんだよね。もしかして、これは予定調和の事か?違う、違うよ。きっとこの先に俺の知らない『Out Rageous/トンデモ』な事が待ってるんだと思った。


しかし、この辺りの、核心に近付くストーリーの流れを何故かあんまり覚えてないんだ。サー・リーとラングドンの話があまりにも好奇心をかき立てた事もあるし、久し振りの映画で集中力が落ちてた事も事実だとは思う。

しかし次々とスクリーンに映し出される手がかりを示す謎の言葉の多さに少し食傷気味だった。頭の中では猿に扮した司会者が出題したり、棘が付いたボールを投げるクイズ番組などが頭の中に浮かんでは消えていった。

「“司教”と“導師”は一体誰なんだ?」と今更の事ながら、気になって頭から離れなくなっていたんだ。

こんな時は消去法に限る。今までの登場人物から考えると、“司教”とはオプス・デイのアリンガローサの事だ。だったら残る“導師”とはサー・リー・ティーヴィングしかいないじゃないか!!速攻答えが出てしまいましたよ。

シラス/サイラスは信じていた“導師”サー・リー・ティーヴィングの運転手のレミー言葉に騙され、警察の襲撃から逃れる際に、父とも思っていた“司教”のアリンガローサを間違って撃ってしまう。そして運転手のレミーを殺し、聖杯の秘密を手に入れようとしたサー・リーは、オプス・デイの信者であったが、裏切りに気づいたファーシュによりアリンガローサと共々逮捕される。


『ローズ・ラインの下で眠る』と手掛かりを示す言葉から、ラングドンとソフィーは遂に『マグダラのマリア』が眠る墓地を見つける。しかしそこにはマリアが納められてる石棺は無く、百合が飾られた花瓶のみがあった。

しかしその部屋には“サング・リアル/血の血統”の系図やソフィーも含めて一家で事故死したと発表された新聞が貼られていた。

墓地を出る二人の前に大勢の人々が立ちはだかる。その中から一人の老人がソフィーの祖母だと告げる。そして未だにこの人達が秘密を守ってる事をソフィーに伝える。そしてソフィーは自分が正統な血を引く『聖杯』である事実を受け入れる。

すごく感動的な場面のはずなんだけど、今までの展開から考えて、「この人達も実はそのうちに裏切るのかも?」なんて思ってしまいました。でもそこは“サング・リアル/血の血統”ですから、ソフィーもすぐに判ったんだね。


いやー凄いね。「実はこれが歴史に埋もれた真実だ」 「これによりイエスの血統は守られたのだ」

原作者が伝えたい事がしっかりと表現されていたね。 ストーリーは最後まで破綻を見せる事はないし、見事な作りでしたよ。「良かった、良かった」と思ってしまうよね。これは見事でした。見事な『Out Rageous/トンデモ』な映画だったよ。


映画は大団円を迎え、ラングドンはホテル・リッツで髭を剃る。ほ〜、リッツに泊まってたんだ。この場面で今でも判らない事がある。髭剃りで切った所から流れ出た血が、洗面台の中で矢印の様な形で“プルプル”と動き何かを示すカットだ。あの矢印みたいなのは何だったの?何を意味してたの?全然判らないんですけど。

何かを感じ取ったラングドンはバッグから本を取り出し、とあるページに釘付けになる。意を決したかのようにホテルを出て街を歩きはじめる。でも、読んでた本は自分自身が書いた本だから、頭の中で考えれば済む事では?。しかしそれじゃ観客は何が何だか判らないもんね。


パリの街の道路には『ローズ・ライン』を示すプレートが一定の間隔で埋められていた。そのプレートが示す方向へ足を進めると視界の先にはルーブル美術館があった。

ルーブル美術館のガラスのピラミッドのすぐ横に、ローズ/薔薇をモチーフとしたガラスのデザインで飾られたスペースの下には逆さのピラミッドがあった。そしてラングドンは逆さのピラミッドの下にあるピラミッドの奥深くにマリアの柩はは埋められている事に気付いた。ソフィーの祖父でありシオン修道会の長であったソニエール館長が、そしてルーブル全体が守っていた事に気付いたんだ。

これで劇中で語られていた、DNA鑑定も出来る訳だね。

出たー!出たぞー!!最後の最後に飛びっきりの『Out Rageous/トンデモ』な事が!!!

凄ぇー!!この映画、面白過ぎるよ。


厚さが薄いとはいえ、文庫本では三冊に渡る話を、映画では長いとはいえる2時間半で表現するのは、どう考えても無理があると思う。原作は『Out Rageous/トンデモ』な内容もあるけど一応はミステリーだ。無理して映画にするから、テンポが良すぎて痛快な感じさえしたよ。

もっとじっくりと見せて欲しいところが目白押しな作品だったと思う。でもその不満は原作を読んで解消しようと思う。昔、角川映画が全盛の頃、よく言われてた台詞を思い出したよ。「読んでから見るか、見てから読むか」だ。俺なら見てから読むね。


色々な暗号や鍵を表す言葉や。キリスト教に関する事柄が出て来て難しい。予備知識が無いと意味が判らない。そんな事ばかりが言われてきた作品だ。俺もそう思って見たけど、全然そんな事は無かったよ。映画の中で見せられた事をそのまま理解すれば良いんだ。それが映画を見てる間では正当な事だと思う。

ただし、歴史を扱った作品で、それが正しいのか『Out Rageous/トンデモ』な事なのかは、その後に自分が興味を持った事を調べて、その事を判断すれば良い事だけの事。自分が正しいと思えばそれが正しいんだよ。


キリスト教に関する謎や『Out Rageous/トンデモ』な事が次々と出て来て興味が尽きない作品でした。でも、そんな事よりも何よりも気になって仕方が無い事が映画を見ている間ずっとあったんだ。それは、ソフィー/オドレイ・トトゥが何処かで見た事がある気がして仕方が無い事だった。

そりゃ、『アメリ』で主演した女優だった事は知ってるよ。フランス人じゃ無いんだ。日本人なんだよね。映画の途中で思い出しました。『スーちゃん』に似てるんだ。元キャンディーズで、今は女優の田中好子にソックリ。その瞬間「揖保の糸よー」のフレーズが流れたよ。

次の映画は何を見るかは既に決まってるんだけど、今回上映ギリギリで入館したから、楽しみにしてた予告編を全く見てないんだ。困った困ったぞ。

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