ヒドゥン

B級映画と一口に言ってもいろんなタイプがあるんだ。

娯楽大作を制作しようとしていて何を間違ったかB級になっちゃった映画。予算が中途半端でB級にしか作れなかった映画。設定や脚本のズレを直していくうちにどうしようもない状態になってB級になった映画。等々色々あります。そして出演者の名前を見ただけで“B級テイスト”が漂う映画があります。

そんな映画の一つが今回の『THE HIDDEN/ヒドゥン』です。1989年 CBS/FOX。

B級映画ファンのカリスマの一人、カイル・マクラクラン/Kyle MacLachlanが主演、共演はマイケル・ヌーリー/Michael Nouri。ビデオのパッケージでは主演共演が逆になっている。

なにせ設定がすごい、「フェラーリ好きのスピード狂」・「ハードロック聞きまくり」そして「マネー」が大好きなエイリアン、イキナリ銀行強盗からのカーチェイス、そしてお決まりの銃撃戦。十数台のパトカーで道路を封鎖し逃走中の犯人を待つ。十人以上の警察官がショットガンを迫り来る車に向かって発砲する、蜂の巣になりながらバリケードを突破するが電柱に激突して車は止まる。しかしショットガンの弾は尽きていて全員拳銃に持ち換え構える。車から悠然と出てくる犯人に対してトドメを刺すべく撃つ!。あれ?ショットガンで撃ってる、拳銃を構えてたのに、何で?。


犯人が病院へ移送された頃、地元警察の敏腕刑事トム・ベック(マイケル・ヌーリー)の元へFBI捜査官ロイド・ギャラガー(カイル・マクラクラン)が現れる。その時病院では悲劇が起きていた。犯人が口からナメクジの化け物のようなものを吐き出し同室にいた別の男の体へボディスナッチする、その男は街へ繰り出し新たなる犯行へと及ぶ。トムとロイドはコンビを組み犯人(エイリアン)を追い始める。犯人を追い詰め、倒したかと思うと又次の人間へとボディスナッチする。よくもまあ都合良くそこに人がいるもんだと思う位に。

エイリアンは結構ナルシストで、やたらと鏡を見る、中年男性の時は顔をさわって、肌の張りを確かめ、若いストリップティーザーに乗り移った時は、嬉しそうに胸をさわる。若い体の方がいいのかね(設定だって、設定!)。


ロイズがベックの家族と対面し自分の事を語るシーンがあるんだけど。この映画に限らず、“生まれも育ちも違う者同士が初めはいがみ合い、そしてお互いを理解し合う”というストーリがよく使われるけど。今一歩堀りが浅い。ロイドが過去を語るシーンにもそれが当てはまり、ギャグのシーンにもそれは言える。

カイル・マクラクランの持つイメージがそう思わせるのかもしれない。


その後もエイリアンは何度もボディスナッチを重ねる、笑ってしまったのは、警部補の飼い犬に乗り移るシーン。犬の散歩中に事件現場に呼出されたら、家に置いてくるか、車の中に置いとくだろう普通。おまけに好き勝手に現場を動き回ったあげくエイリアンの餌食になってしまう。犬になっても鏡を覗くシーンは可愛いけどちょっと練りすぎかな。

それからもロイドとトムのイザコザを利用して次々とボディスナッチし、ついに最終ターゲットを大統領候補のボイドに定める。でもどうしてボイドをターゲットにしたかよく分からない。何時の間にか、権力欲のかたまりになっている。このあたりになるとフェラーリもハードロックも興味なし。


このままでは犯人(エイリアン)が手の届かない所へ行ってしまうと察知したロイドは最後の手段に打って出る。これまでは人間として捜査をしていたが、ある意味で不死の力を持つエイリアンとしての本性をさらけ出し、自分の家族をも殺しているエイリアンとの対決に臨み勝利する。しかしその代償はあまりにも大きかった。トムが銃弾の餌食となり死んでしまう。

初めてトムの家を訪れた時に相棒のトムの一人娘のピュアな眼差しに殺されてしまった自分の娘の姿を見てしまっていたロイドはこの星の土となる事を決心し、口から照射される黄金色の光によって死んでしまったトムに乗り移る。でも娘は気付いていた。パパ(トム)の中には異邦人であるロイドがいることを。しかし娘は恐れることなくパパとなったロイドを受け入れるところでエンディングを迎える。


ヒドゥン

どうしても腑に落ちないことがいくつかある。ナメクジの化け物のエイリアンは、どうやって地球へやって来たか?。1番初めはどうやって人に乗り移ったか?。悪のエイリアンはナメクジの化け物で乗り移り、善のエイリアンは黄金色の光で乗り移るのか?等々は全然説明されていない。でもこれでいいんです。これこそB級映画です。

この映画を見てる間ずっと思ってたことは「T2」のジョン・コナー役のエドワード・ファーロングが大人になったら、カイル・マクラクランの路線引き継いでくれないかな」だった。

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