葛原が岡の紅葉北鎌倉から葛原ヶ岡、そして鎌倉へ

大船駅で北鎌倉への乗換列車を待つ俺と俺と何時も一緒にいる『遠出大好き』な人の2人は、前の方の車両は混むと予想して、後ろの方の車両に乗り込んだ。列車はそんなに混んでなくて上手く座れた。「これは中々良い判断だ」という考えは北鎌倉に着いた途端軽く消し飛んだよ。あの狭いホームに溢れんばかりの人がいるじゃないか!今の列車からこれだけの人数は降りてないぞ。そして全然前に進まないじゃないか。


後ろの方に降りたので前の方がどうなってるのか全く判らない。見えるのは見知らぬ人の後頭部ばかりだ。そうこうしているうちに次の列車がホームに入って来て、また人を吐き出した。またまた混雑倍増だ。「何もたもたしてんのかね?」と言ってる内にまた列車が入って来た。どうやらこれの繰り返しでホームが混雑してるらしい。ホームにいる俺たちは危ないし、気疲れするけど、運転手はもっと気疲れするんだろうな。


まるで初詣のような混み具合の中をゆっくりゆっくり前に進む人の列に、ホームの外からチラシを配ってる女の人がいたよ。どうやらすぐ横に小さな美術館があるらしい。でも俺らは全く興味が無いし、もらった時点でゴミになってしまうチラシには見向きもせずひたすら改札口を目指して牛歩を続けた。ホームの中ほどに改札口が有るじゃないか。「何だここから出られるじゃないか。何々?フリーきっぷ専用の出口だと!」俺らは『スイカ・カード』で移動してるんだぞ。定価だぞ。正規運賃だぞ!サービスが逆じゃないか?納得いかねえな。


やっとこさ改札口にたどり着いた。スイカ・カードで“ピッ”と精算だ、、しかしタイミング悪くまた列車がホームに入って来た。そして出口周辺の混雑は半端じゃなくて、なかなか改札を通れなかったよ。「はぁ〜」。最後に予想外に時間は掛かったが、予定よりは早目に着いた。事前の予定ではちょっと早い昼食だ。目星を付けてた店に向かったが営業時間前でまだ開いてなかった。でもこれだけの人出だから開いてても入るのは無理だったね。当然駅の前を通る県道21号横浜鎌倉線も車で大渋滞だ。まずは最初の目的地の『浄智寺』へ向かうことにした。


目の前を歩いている何人もの人が細い路地へ入っていく。まさか嫌な予感がする。向かった浄智寺は人で溢れているじゃないか!『猫写バッグ』(カメラを入れるバッグ)を数日前に買い、肩から下げて気合を入れていたのに、こんなに人がいちゃ・・・。「ねぇ帰ろうか?」と弱音を呟いてしまったよ。俺と何時も一緒にいる『猫大好き』な人が「“猫は何処でもいる”が、モットーなんでしょう」と言った言葉に励まされるように浄智寺山門へと向かった。


浄智寺の庵
驚いたキジトラが逃げ込んだ庵

観光客は色づき始めた木々や趣を見せる庭を眺めては記念写真を撮っていた。俺たちは猫を探す為、茂みの中やお堂の裏の方など、他の人が見ないような所を覗いていた。何してんだろう?と思われたかもね。順路を歩く観光客には分かりづらい小さな道が有るぞ。竹垣に囲まれたその奥には寺の関係者の建物が建っているようだ。これは「入ってみるべきでしょう」とカメラのスイッチをオンにした時、目の前に茶色い物体が現われた。「猫だー!キジトラだ」俺の発したオーラを感じてか、猫の動きが一瞬止まった。それを見た俺も何故か一瞬動きが止まったよ。「いかん。いかん」我に還って電撃の速さでシャッターを押しました。フラッシュの光で猫も我に還ったらしく、大急ぎで近くの庵の縁の下に逃げ込んでしまった。でもその間に俺たち『猫写マン』は何枚かの写真を撮りましたよ。気分が盛り上がってきたぞ!


浄智寺と猫に別れを告げて、『葛原ヶ岡』に向かうハイキング・コースへ入った。「うへっ!何だこの道は?」ハイキング・コースというか、俺にはどう見ても山道にしか思えないぞ。それよりも驚くのはハイキング・コースの途中に民家が有った事だ。平日は静かで良いかもしれないが、休日に家の前を何人もの人が歩くのは嫌じゃないかな?こんな山の中だから駐車場も遠いし自転車も登れない。ゴミ出しはどうしてるんだろう?ハイキング・コースを見渡せる所に出たのでひとまず休憩だ。目の前には黙々と歩く人たちの列が見える。後ろを見ると同じ様に顔を若干下に向けた人たちが坂を上ってくる。「これじゃ、まるで蟻の行列だ!」 上りはそれほどじゃないけど、下り坂は足元が不安定でちょっと注意が必要だ。おまけに後ろを歩いてるオバサンが俺たちの肩を支えにしようと手を着いてくるんだ。危なくて仕方がないので横に避けて避難した。人のざわめきが聞こえてきた。どうやら葛原ヶ岡に到着したようだ。


源氏山の紅葉

葛原ヶ岡は大勢の人で賑わっている。みそ田楽を売る店もあったが、すぐ近くの草のスロープを覗いてみたら、いるじゃないか猫が。キジトラ猫だ!。その猫を一眼に一脚を付け、その上レリーズ・シャッターを使って猫の写真を撮ってる2人組がいた。負けるもんか!その2人組のカメラマンは数枚写真を撮っただけでスロープを上がっていった。どうやら『猫写マン』じゃないらしい。キジトラ猫の写真を撮りながら周りを見ると、他にも何匹も猫がいるじゃないか。観光客からもらったパンを美味しそうに食べている猫もいた。俺たちは1匹の黒猫とコミュニケーションを取る事が出来たようだ。触っても逃げないし、面白い写真を何枚も撮らせてくれた。有難うニャん。君には『ニャー君』の称号をあげよう。今日から君は『黒ニャーくん』だよ。一眼の2人組のカメラマンが子猫のキジトラの写真を撮りながら「こいつだけで1本(フィルム)使ったよ」と話をしているのが耳に入った。俺らは心の中で「いやいや、俺らはもう3本は撮りましたぜ」と呟いていたよ。


次の予定は『源氏山』だ。間違っても『化粧坂』の方には行かないようにしなきゃな。10年以上前、観光客も殆んどいなかった化粧坂を上った数日後から不思議な事が起こってすごく困った経験があるんだ。太平記にも書かれているように、源氏山公園一帯は古戦場で、特に化粧坂の攻防は激戦だったらしく、多くの命が散ったらしい。だから今回は視線をチラッと向けただけで、逃げるように源氏山へ向かった。君子危うきに近寄らずだよ。


源頼朝公
かしこまった顔の頼朝公

久し振りに訪ねた源氏山は、記憶より小さくて、一瞬違う場所に来たのかと思ったけど、頼朝公の像は記憶の通りだ。その像のすぐ近くに地面のニオイばかり嗅ぐキジトラがいた。声を掛けても写真を撮っても、触っても、ズーッと地面のニオイばかり嗅いでいたよ。どんなニオイがしたんだろう?これから先の道は下りになってハイキング・コースの終点が『寿福寺』らしい。


道を下っていくと、またまた山道になった。幾つかのお寺とお墓の横を通り過ぎるが、なかなか『寿福寺』に着かないぞ。気付くといつの間にか道はお寺の中に入っていた。どうやら『寿福寺』に着いたらしい。寺の正面に出るのではなく、裏の方から入るコースになってたようだ。観光ルートじゃないから仕方ないのかもしれないけど、「さあ着いたぞ」という盛り上がりに欠けるよね。ブラブラと歩いていると山門を通り過ぎて外に出ちゃったぞ。目の前を通る道は県道21号横浜鎌倉線のようだ。ぐるっと一周したんだね。「ふ〜」と息を吐きながら横を見ると、すぐ横で白茶の猫が堂々と寝てるじゃないか!!

『寿福寺』の石塔。寺という字の横に猫が寝てました。

観光客の事なんが全く気にしていないようだ。俺たちも観光客の目を気にせずに、当然『猫写』ですよ。そしてサワサワと触りました。目を覚ました白茶猫は『前伸び』をした後、山門のすぐ近くの土を掘り出しはじめた。「この行動は!!」予想通り『しっし』だ。「あの〜、ここは観光地で、おまけにお寺の山門なんですけど・・・」なんて言っても猫には分かるはずはない。でも、ちゃんと後片付けはする猫でした。

『しっし』の後
『しっし』した後は綺麗に片づける。

 


昼前に北鎌倉へついてからずーと歩き通しでクタクタだ。店が満員で入れ無い事を考えて、東京で買っておいたおにぎりを葛原ヶ岡で食べたからお腹は空いてないけど、コーヒーが飲みたくてたまらないや。今までは店なんか在る訳が無い山の中を歩いていたから気にはならなかったけど、通りに出て町並みが現われた突端に飲みたくなった。いつもの事だけど猫との出会いを楽しみにして、観光客が通るであろう道は極力避けて、住宅地の中を歩いてコーヒーが飲める店が有るであろう鎌倉へと向かった。


しかし1匹の猫に出会えないまま鎌倉へ到着しちゃった。せっかく来たんだし、お土産でもと、鎌倉で1番人通りが激しい小町通りへ入り、『まめ蔵』の前まで行った。本当に人が多いよ。俺が初めて鎌倉へ来た時は、小町通りは普通の商店街だったよ。地上は人で溢れ、空ではトンビがピーヒョロロと鳴いてやがる。知人の親が経営してる物産店でも覗こうかと思ったが、知人に会っても話す事が無いのでパスをし、駅前に足を向けた。


「さあて、何処で休憩しようかな?」ファースト・フード店も含めて食事が出来る店は全て満員状態だ。こりゃ困った。本気で捜さないとな。駅前に建ってるスーパーの中にフード・コーナーのような場所があるかも?と思って中に入ったが、そんなもんありゃしねぇよ。仕方が無いのでフロアの端のほうにあった喫茶店に並んだら、すぐ4〜5人の団体が出てきた。ラッキー!! 席に座るとお店の人が「今日、時間が掛かりますけど・・・」と言う。なるほどそれで先程の団体は出て行ったのか。いえいえ構いませんよ時間なんて。今は椅子に座れるだけで俺たちは嬉しいんだから。


ゆっくりと休憩をしたお陰で体力復活だ!!さあ町猫探しだ!「さぁ、一丁、光明寺まで足を伸ばして猫たちに会いに行くか」と調子に乗っていたら、「もう日が暮れるからダメ!近場じゃないと無理」と、俺と何時も一緒にいる『猫大好き』な人から、思いっきり釘を刺されてしまった。以前猫に会った神社や路地を歩いてみるが、野良猫には人の都合は関係ない。全然出会えませんでした。肩を落とし気味に駅前まで戻った時、視界の端に何かが引っかかった。「うん!?あれは?猫だー」、三毛猫がビルとビルの間で寝てるじゃないか。でも『猫写』するには遠いぞ。ゆっくりと近づきながらカメラのズームを最大にしてると、ムクっと起き上がった。そして『前伸び』をはじめた。「可愛いぞ」当然写真はいただきましたよ。近くのお店を冷やかした後にもう一度覗いてみたら、さっきと全く同じポーズで寝てたので、俺も全く同じ行動をとったら、猫も同じ行動を繰り返したよ。「可愛い」当然写真はいただきましたよ。でもその後は座ったまま同じポーズを取りつづけました。少しは動いてくれればよかったのになぁ。


夕飯

日も暮れだして、『猫写』は流石にもう無理だ。混みあっているキップ売り場は悠然とパスして『スイカ・カード』で“ピッ”と改札を通過。このまま東京まで混んでる電車で帰るんじゃなくて、ちょっとばっか裏技を使うんだ。二つ先の大船で一旦降りて、駅ビルで晩ご飯を食べ、大船発の『湘南新宿ライン』で東京へ帰る。当然始発だからゆっくり座れるし、列車によってはクロス・シートの車両があって、それなりの旅行気分が味わえるんだ。今日もよく歩いたな。寝ながら帰ります。

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