フィルム1本の値段

 

昨日、町役場の近くで俺だけが出会った猫たちの所へ、俺と何時も一緒にいる『猫が大好き』な人を、そこに連れて行こうと歩いていると、昔懐かしい場所に出た。そこは山の麓にある公園で、中学生の頃、学校帰りに何度も遊んだ事があった。その当時より整備が進んで陶芸教室なんて物が建ってた。「ふ〜ん」と感心していると、金網の向うの茂みに気になる固まりが。「やっぱり、猫だ。三毛猫だ」ここに来る少し前にも『猫写』したばかりだけど。猫なら一日に何度会っても嬉しいよ。


猫は斜めに差し込む冬の陽を受けて、気持ち良さそうに寝ている。カメラを取り出し「にーや、にーや」言いながら写真を撮っていると、雑木林の中からパキパキと音がする。誰かいるのか?その割には音が軽いぞ。「まさか!もしかして」やっぱり猫だ。白猫が現われた。子猫だ。可愛いぞ。再び「にーや、にーや」言いながらカメラを向けていると、もう1匹白猫が出て来て、その後ろからキジトラまで出て来た。これは『猫だまり』を掘り当てたようだ。前足を「う〜ん」と伸ばして前伸びまで見せてくれた。カワイイ!!その後も黒猫や茶トラや母親らしい三毛猫までが雑木林の中から出て来て、もう俺らは大はしゃぎだ。


調子に乗って『猫写』してたら、バッグの中の予備のフィルムが後1本しか残ってないぞ。まさか『猫だまり』に遭遇するとは思っていないから、フィルムをそんなに沢山は持ってきてない。これは困った。元々の目的地は別な場所だ。そこで満足な『猫写』が出来ないじゃないか。一応デジカメは持ってるけど、『写るんです』に毛が生えた様なカメラでだから、単焦点なのは仕方がないけど、写りが今いちどころか、レンズの性能が余り良くなく、直線が曲線になって写ってしまうようなデジカメなんかで写したくないよ。やばいやばい!どうにかしなきゃ! この近くにカメラ店が有ったような気がする・・ ・ここ数日は町役場に毎日のように来ていたから、見た記憶があるんだ。町役場の回りにある店を一軒一軒頭の中で浮かべてみた。「確かこっちに・・・」記憶は確かだった。フィルムメーカーの幟が立っていた。「有った有った。ヨッシャー」とドアを開けた。


「すいません。フィルム下さい。フジのISO400の36枚撮り」と言うと、出て来たオバサンは怪訝そうな顔で「これですか?」と、それを指差した。値札を見ると870円と書いてある。870円!?高っけー!何だその値段は!!量販店なら4本は買える値段じゃないか。でもフィルムが無いのは、侍や戦士が丸腰で戦場に向かうようなもんだ(それほどかよ)。千円札を出して買おうとしたら、「800円でいいですよ」だって、すごく微妙な値下げだ。これで安心して『猫写』の続きが出来るぞ。浮き浮きした気持ちで歩き出すと、俺と何時も一緒にいる『猫が大好き』な人が、「オバサン驚いてたね。フィルム買う人なんていないんじゃないの?」と言う。実は俺もそう思っていたんだ。大抵の人はフィルムは量販店で買うだろうし、コンビニでも売ってるからね。

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