ザ・ラスト・ヨシギュウ

 

毎日のようにテレビのニュース番組で流される牛丼関係のニュース。「○×では今日が最後。×○はあと数日で無くなるそうです」 そして「吉野家では当初11日の予定でしたが、駆け込み需要で今日10日で在庫が切れるそうです」と大々的に扱っていた。昼から2時間ほど経った頃に俺は遅い昼飯を買いに吉野家へ向かった。


カウンターの席は全部埋まっていたが、テイクアウトコーナーは老人の男性とオバさんの2人が並んでいるだけだ。後ろへ並び順番待ちをしていると、老人と店員が何やら軽く言い合っているようだ。聞きたくは無いが、耳に聞こえてきた内容は、老人の「今日の何時頃まで牛丼は売ってるんだ?」に対して、「判りません。無くなり次第終了です」 再び老人の「今日の4時頃食べたいんだ」に対して、「お取り置きは出来ません。終了時間は判りません」 3度目の老人の「今は腹が減ってないんだ。だから4時頃食べたいんだ。しょうがねぇな」に対しては、「今お買い上げいただかないと無理だと思います」だった。しょうがねぇのは、あんたの方だと思うけどね。早く買わないと無くなるよ。ほら、並んでる人増えてきたよ。老人は仕方なさそうに並を買って「腹減ってねえんだよ」とブツブツ言いながら店を出ていった。


「腹が減ってないなら、買わなきゃいいのに」と心の中で思っていたら、前に並んでるオバさんが分けの判んない事を言い出した。大盛りと並をそれぞれ1つと玉子やみそ汁を注文したらしいが、それを一個ずつ袋に入れろと言っているようだ。一個ずつ袋にって、何の事だ?

よく聞いてみると、一人前分を1つの袋に入れろと言ってた。大変だね店員さん。こんなに忙しいのにね。顔に“ムッ”という字が浮かんでるように見えましたよ。

「七味と紅しょうがは、お付けしますか?」の言葉にオバさんのボルテージは一段と上がって「付いてるの?タダなの?タダなの?」と大騒ぎだ。「付けて、付けて」と叫んでるオバさんを無視して店員は七味と紅しょうがを袋に投げ込んでいたよ。その気持ちお察ししますよ。

そしてオバさんは最後にこう言った。「会計は一人前ずつ別々でね」 あのねオバさん、数人でお店で食事した後に別々に払うのとは違うんだからさ。ほら、並んでる列がまた長くなったじゃないか。やっと俺の番が来たよ。

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