ジイさんに道を聞かれる

 

一日の仕事が終わり、何時ものようにバイクにまたがり家路へつく。信号待ちをする俺にスーパーカブに乗ったジイさんが「すいませんがね・・・」と、なにやら話し掛けてきた。どうやら道を尋ねたいらしい。「この俺に聞いてくるなんて、運が良いじゃないか」


「高円寺に行きたいんだが」 「えっ!高円寺?」 このおっさん道間違えてるぞ。もっと手前の較差点を左折して・・・なんて考えても仕方が無いから、路肩にバイクを止めて道順の説明だ。

このまま、真っ直ぐ走って行くと、右に路面電車の線路が走ってる狭い道になります。そのまま真っ直ぐ行くと大きな交差点があるけど直進してください。ここまで分かります? すると道が広くなります。しばらく走るとアンダーパスをくぐります。アンダーパス分かります? そのまま真っ直ぐ走っていくと、目の前に環七のオーバーパスが横切っているのが見えるから、その交差点を左折してください。環七って分かります? 何回かオーバーパスを上り下りしますけど、その道を走っていくと、JRの高架線が見えてきます。その辺りが高円寺です。分かりましたか?


すごく不安そうな目で見ないでよ。もう一度説明するからさ。「ところで高円寺のどの辺りに行くんですか?駅ですか?」 「実は、方南町に行きたいんだが・・・」 「えっ!方南町ですか!」 方南町は高円寺のまだ先だよ。

高円寺のJRの高架線の高架線をくぐって走っていくと、オーバーパスを一回上ります。分かってます? 信号を2つ3つ過ぎるとアンダーパスが現れるから、側道を走ってください。そして信号がありますから、そこの辺りが方南町です。分かります? 覚えられますか? 結構遠いですよ。


ジイさんの顔をみると、まだ何か言いたげだ。俺の方が不安になった。「本当は何処に行きたいんですか?」 「実は、永福町なんだ。」 「えーっ!永福町!!」 これ以上説明しても絶対このジイさんは覚えられないよ。今までの説明を覚えてるのかも危ない。顔がポカーンとしてんだもん。

とりあえず高円寺近くか、環七のオーバーパス辺りでもう一度道を聞いたほうがいいですね。そこまでは大丈夫ですよね? そんな不安な顔するなよ。 とりあえず真っ直ぐ走って、少しでも分からなくなったら誰彼構わず道を聞いたほうがいいですよ。


本当は高円寺か方南町の近くまで一緒に走って行くのがいいんだろうけど、パンクやガス欠で困っているわけじゃないし、排気量が違うとはいえ同じライダーだから、頑張って走って行ってください。

本当は何処に行くつもりだったんだろうなぁ。高円寺と永福じゃ、同じ中野区でも全然違う場所だよ。地図も持たずに走るのは都内と言えど無謀な気がするよ。ちゃんと行けたかなぁ。

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